《傾かざる赫の天秤》第三話インターミッション・その1

以下のように発言色を分けています。

GM発言

GM 雑談など

PC発言

PL発言、雑談など

PC発言

PL発言、雑談など

PC発言

PL発言、雑談など

PC発言

PL発言、雑談など

シーンリスト

おはようございます

おはようございます

こんばんはー

今日はNPCオンリーのマスターシーンの後、こちらで用意したシーンやなにかやりたいシーンなどをやっていきます

『嵐の後に』


A.D.3394年、紅の慈善財団襲撃事件発生。
会長ヨナ・ユリシスは不屈の正義によって、死者まで出したこの事件に立ち向かい、
誘拐された内縁の妻アイボリーを救助、彼女を助けた親友ガドの保護にも成功した。

歪みきったネオ・エレミア社会を憂えた警察官、イサカー・リンカとの協力の下、
事件の調査は抜け目なく行われ、犯人グループがロゼット社の関係者だったことが裏付けられる。
6年前にもレーヴァテイル絡みで不祥事を起こした同社は、この事件の全貌が明るみに出たことで、
その企業イメージに修復不可能な傷を受けた。

また、事件発生当時、警察当局や救助隊の初動が不合理に遅れた事に関しても、追及はなされた。
警察組織の腐敗が槍玉に挙げられ、世論は警察、ひいては政府に対する不信に傾く。
シュレリアの使徒とやらに尻叩きされねば、人命救助も出来ぬというのか──
それは今回の事件の被害者、そしてヨナたち『レーヴァテイル擁護派』への同情にも繋がった。

レーヴァテイルを守ろうとする者たちが、酷い事件に巻き込まれた事。
そしてそれが、体制側の支援を受けて行われたと推察出来る程の証拠が出て来た事。
それから何よりも──紅の慈善財団は、心ある者たちは、それらの悪意に打ち勝った事。
これらの事象は、人間にもテル族にも、何よりレーヴァテイルたちの心にも大きな波紋を呼ぶ。

以降次々と派生し、レーヴァテイルの権利を巡って繰り広げられた一連の“政治闘争”は、
後に『レーヴァテイル解放戦線』と名付けられることとなる。

うおおおおかっこいい…

【BGM:神は我が力】

from メギド72 music collection vol.3(寄崎諒)

『では、次のニュースです。警察庁長官の更迭を巡って、政府は──』

レーヴァテイルのアナウンサーが、流麗な声でニュースを読み上げている。
すっかり夜の更けた部屋の中、弁護士サフィールは冷めて酸っぱくなったコーヒーを啜っていた。
鋭い知性を宿した瞳には、今は疲弊が滲んでいる。近頃は非常に多忙だった。

何せ、ヨナが今起こしている数々の裁判、その全てにアドバイザーか弁護士として関わっているのだ。
警察の不正を暴くこと、帰ってきたロゼット社への“トドメ”も、紛れもなく正義だ。
その仕事内容には然程不満は無い。ヨナと懇意であるメリットは、正義執行の機会が多くなることだ。

しかし、今回ばかりは釈然としない所も多かった。
敵──改め、犯人側の供述の写しに目を向ける。

メチャクチャおしごとがむばてる……

(ヨナの連れていた謎の傭兵……何人かは要注意人物の特徴と合致している……)

かつて過激派組織に身を寄せていたとされる、“涜神者”アンジェラ。
テル族たちが今尚恐れている爆弾魔、ヴラクトゥアス・デ・アグラ。
他にも、消息不明の犯罪者の特徴と合致する人物が、ヨナと共に現れた──
犯人側はそう供述している。

目立つポイントの高かった人たちェ

犯人は悪だ。2名ものレーヴァテイルを殺害し、多くの怪我人を出した。
同情すべき事情が有ろうと、悪は悪であり、法によって裁かれるべきである。
だが、悪だからといって、その言葉の信憑性の全てが失われるわけではない。
ヨナを貶めようとデタラメを言うことは出来るだろう──だが、供述は複数名でおよそ合致している。

それに、事件と同時多発的に発生した火災。
素早い避難により死者こそ出なかったものの、現場は政府関連施設。
偶然と言ってしまうにはタイミングが良すぎて、これにより捜査の手が撹乱されたことも事実。
決定的な証拠は何一つ残っていなかったが、何者かによる放火の可能性は否定できない。
たとえば、怒り狂った反体制レーヴァテイルの仕業、だとか。

ヨナは、知らない、偶然の一致だ、そう言っていた。実際、知らなくても無理はない。
アンジェラもヴラクトゥアスも、消息を絶ったのは昔のことだ。サフィールも詳しくは知らない。
そして死の雲海が存在するこの世界において、消息不明とは死体が残らなかったことも意味する。
ましてやレーヴァテイルともなれば、その生死を証明するのは困難だ。

サフィールは、ヨナを正義の人だと信じている。
たとえ犯罪者と手を組んでいたのだとしても、彼の今回の行いそのものは、正義の執行だった。
だが、もし火災を引き起こしたのが彼だったら。
裁かれるべき犯罪者を、どこかに匿っているのだとしたら。

レーヴァテイル生死判定、個別にping飛ばせたらまだ判断つきそうだけど…

(……アタシの“正義”は、どこにある?)

ヨナの依頼を反故にする気は無い。仕事人として、そこを投げ出すことはあり得ない。
だが、もし彼が法に背いていたら。身体が真っ二つになりそうな気分だった。
法こそが正義、ヨナもまた正義──信頼していたふたつが、実は全く正反対のものだとしたら。

「あぁ~~~っ、もうっ!!」

苛立ち、サフィールはコーヒーカップを荒々しく置いた。
資料も机に置いて、彼女は椅子を立つ。テレモ受像機の電源を落として、彼女は部屋のカーテンを開けた。
窓の向こうの星空を見上げ、怒りとも悲しみともわからぬ激情を落ち着けようとする。

原点に立ち返って考えれば、最初からヨナは法と対立する立場だったのだ。
現在の法律において、レーヴァテイルに人権は認められていない。
ヨナはそこに文句をつけているのだから、そういう意味で言えば、彼はずっと前から不法者だった。

悪法も法かー

「……この件が片付いたら、ヨナとは距離を取る」

数日前から決めている方針を、決意表明のように口にする。
財団に対する寄付は続けるし、依頼があれば内容によっては受けるが──以前のように、友達のように接するのはやめる。
今回の事件については、仮に最悪の予想が全て当たっていたとしても、まだギリギリ自分を許せる。
だが、今後どうなるかはわかったものではない。

ヨナ・ユリシス、善良にして有能たる御曹司。
平和と平等を愛し、レーヴァテイルの解放、種族差別の撤廃を訴える急先鋒。
誰も彼も、彼はその善良さ故に苛烈な差別に心を痛めているのだと思っている。
サフィールもずっとそう思っていた。だが、本当は──アイボリーのことしか考えていないのではないか?

「……はぁ。流石に睡眠時間の削りすぎかしら」

余計なことばかり考えてしまうのを、寝不足のせいにして、サフィールはシャワーを浴びることにする。
『正義の味方』と名乗りを上げる以上、思考停止はあってはならない。
だが仕事は仕事、ヨナの行使した暴力を正当防衛として認めさせ、ロゼット社の息の根を止め、捜査の不正を糾弾する。
色々と不審な点も多いが、ガドの負った傷は十分に逼迫した状況だったことを物語っている。無理筋ではない。

「嫌になるわね。……黒幕の正体もヨナのキナ臭さも証拠不十分、真相は闇の中。
一人くらい、心から信じられる友が欲しい。……なんて、きっと誰もが願っているわ……」

【BGM:繋留する影】

from メギド72 music BOX(寄崎諒)

『生きているのが奇跡、常人なら4回くらい死んでいる』。ガドの主治医は、彼の傷跡を見てそう呆れていた。
我ながら、人外じみた生存力だと思う。右目の損傷、左手に残った軽度の麻痺などはあれど、
術後まもなく退院の目処が立てられる程度なのだから。

はい

せやろな >常人なら4回くらい死んでいる

ガドの病室の扉がノックされ、中に2人の人影が入ってくる。
今日から面会謝絶が解けたから、おそらく見舞いが来たのだろう。
見慣れた顔は、職場の同僚だった。彼らには、随分と心配をかけてしまった。

「よ、ガド。見舞いに来たぜ」

「私もいる。予後は順調なのか?」

「来てくれてありがとう、2人とも。ああ、もう何日かしたら退院の予定だ」

「はぁー……無断欠勤したかと思ったら、意識不明の重体で入院だもんな。肝が冷えたぜ。
 なんか事件に巻き込まれたって聞いたけど、大丈夫だったのか? ……あ、これ、土産な」

バルトは手に提げていたフルーツバスケットを、ベッドサイドの机に置く。
ガドは苦笑いしながら、彼の質問に答えた。彼らの同僚としての立場に徹する。

「アップルキッチンの事件は聞いただろう? あの現場に居合わせてしまったんだ。
いやぁ、大変だった。とばっちりで俺まで誘拐される始末だったし」

「それで、君らしくもない怪我が増えたってわけか」

「まぁな。おかげでこのザマさ。全くもって間が悪かった。命が有った分だけ、運は良かったが」

「……それで、クリファ君、これからの君の処遇だが」

神妙な声音に、ガド(ついでにバルトも)の表情が強張る。
トレイビーは直接人事権を持っているわけではないが、見舞いついでに伝えに来たとしても違和感はない。

ついでw

「大分怪我をしたようだが、警備員としての職務は果たせるだろうか?」

「いや……わからない。右目はトイレットペーパーの芯の中くらいの視野しか無いし、左手はリハビリが必要そうだ。
 とはいえ、腕っ節しかない俺が、今更他の職種に行けるかというと……」

「ふむ。……私はね、クリファ君、君さえよければ、どうにか警備責任者として続投させてあげたいと思っているんだ」

「……マジで?」

「マジ。人事の奴とも協議した結果だ。君ほど忠実で優秀な人材を捨てるのは勿体ない、と」

信用勝ち取ってるねえ

ガドは驚いた表情をしてみせながら、内心ほくそ笑む。地道に利用価値を示し続けてきた甲斐があったというものだ。
現体制をあまりよく思っていない連中とつるんでいても、長年証明してきた有能さの方が重くなる。
それに、ここで研究所の警備員を辞めることになると、密偵としての役割がこなせなくなるところだった。
二重の意味で、首の皮一枚繋がったと言える。

「俺もリハビリは頑張るが、使い物になるかはわからないぞ?」

「なんだっていい、これからもガドと仕事が出来るんならな!
 正直、アンタが居ないと張り合いがなさすぎて困ってるんだ」

「それに、君は警備員や研究者たちの人間関係もよく取り持ってくれるだろう?
 復帰は気長に待っているから、腰を据えてリハビリをして、また戻ってきて欲しいんだ」

「……願ってもないことだ。ありがとう、トレイビーさん。遅れを取らないよう、頑張るよ。
 俺としても助かるんだ、まだバルトやトレイビーさんたちと一緒に働ける、ってのは」

それからはしばし談笑を続けた。入院生活はどうか、仕事の方は大丈夫か、等々。
病院食は味気ない、個室を割り当てられて助かった、煙草が吸えなくて辛い──
ひとしきり和やかに話した後、バルトとトレイビーは帰っていった。

残ったガドは、話し疲れた喉を労わって水を飲み、ベッドに横たわる。
気をつけないと頭か足かをぶつけてしまう寝台の上、ガドは情動の抜け落ちた顔で天井を見つめる。
病室は静かだった。風が梢を揺らす音、小鳥たちのさえずり、乗り物の通る音、ただそれだけが遠く聞こえる。

一般人用ベッドだと長さが足りない

ひとまずガドさんはよかったよかった

『まだきてくれないの?』

実体の無い声が聞こえた。いつもの幻聴だ。気にせず、自分の呼吸と鼓動に意識を傾ける。
何もせず、ただ横たわっているしかない時間は、一秒が無限大に引き延ばされる気分だった。
早く食事か、リハビリの時間が来て欲しい。囁く幻聴に冷や汗が浮かぶ。

「ごめんくださーい。……ガドさんの病室で合っていますか?」

「……! あ、ああ、俺がガドだ」

【BGM:Self Contained Universe (Reprise)】

from OneShot Soundtrack(Nightmargin (Casey Gu), ft Eliza Velasquez and Michael Shirt)

聞き慣れた、信頼する声が聞こえて、ガドは飛び起きる。本日2回目の見舞客は、ヨナ・アイボリー夫妻だった。

「大丈夫? 大分顔色が悪いみたいだけど……」

「いや。暇すぎて困っていたところだ。……君たちの方こそ、大丈夫か」

「私たちはね。怪我もしなかったし、事情聴取も落ち着きましたし」

「事件の後処理はまだまだかかりそうですが、そこはご心配なく。ガドさんが罪に問われる可能性は、ほぼゼロです」

それを聞いて、ガドはまた胸を撫で下ろす。流石に殺人の前科がついたら、職場復帰どころではない。
やはり、常人なら致命傷になる傷を負ったというのが効いたようだ。
その上、ガドは『人間の男』だから。

「それは助かる。……ヨナ自身の方はどうなんだ?」

「あぁ、それは……有利といえば有利ですが、もしかすると傷害罪は問われるかもしれませんね」

「むぅ……俺が証言したら、何か良くならないだろうか。ヨナが暴力を用いなければ、俺は間違いなく手遅れになっていたんだ」

「そうですね。弁護士の方とも相談してみましょう。とはいえ、貴方は重傷人なんですから、くれぐれもご安静に。
 想定してたほど悪くはないんです。結構僕らに同情的な人も多いみたいですし。
 ……こういう時、顔が良いと助かりますよね」

「あはは、ヨナったら、またそんな冗談言って」

「はて、僕は自分の価値をわかっているだけですよ。何がともあれ、ご心配なく」

そう言いながら、ヨナは荷物から未開封の炭酸水を取り出し、ガドに渡す。見舞いの品、ということらしい。
彼の視線は、バルトが寄越したフルーツバスケットに向く。

「あれ? 他にもお見舞いが来てたんですか?」

「ああ、さっき、職場の同僚が。……そのフルーツ、持って帰ってくれないか?」

「うーん、僕も果物アレルギーなんですが……」

「なら、『赤とんぼの家』に差し入れするのは? 子供たちなら、みんな甘いもの好きだし」

「名案です。そうしましょう。というわけで、ありがたくいただきます」

受け取った炭酸水の栓を開け、口に含む。ジャンキーな甘い味付けと強い炭酸の刺激。
まだ胃腸は本調子ではないから、腹具合を見ながら慎重に。

「……差し入れといえば、俺を助けてくれた人らが居ただろう? 彼女たちには、改めて礼がしたいな」

「ああー……不可能ではありませんよ。退院したら、予定を擦り合わせましょうか」

「皆さん、ガドさんのことを気にかけてたし、元気な顔を見せたらきっと喜びますよ」

「はは……元気かどうかはわからないが」 曖昧に笑う

「……もちろん、僕たちもこうしてお見舞いに来れて、本当に嬉しいんですよ。
貴方が無事で本当に良かった。まだ、貴方とお別れはしたくありませんでしたから」

「君が嬉しいなら……必死に生にしがみついた甲斐はあった、のかもな」

居心地悪く、ガドは自分の腕を掻く。リストカットでボロボロの皮膚に、すぐに血が滲んだ。

【BGM:Sonder】

from OneShot Soundtrack(Nightmargin (Casey Gu), ft Eliza Velasquez and Michael Shirt)

「……これからも、ヨナたちはスタンスは変えないのか?」

「無論です。細かい方針は変化すれど、今後もレーヴァテイルの権利獲得に向けて頑張っていきますよ。
 どうかガドさんも、変わらぬ協力をお願いしますね」

「それはもちろん。さしあたっては、君が牢に入れられないよう口利きすることから」

「……冗談か本気かわからないジョークは、反応に困るんだけど」

「ごめん。つい、君たちと話していると、素が出るんだ」

飲みかけの炭酸水を一旦テーブルに置き、ガドは柔らかく微笑む友達の顔を見る。
片目を失い、立体感の損なわれた視界。それはきっと、これから当たり前になっていく。

視野が悪くなったけど生きててよかったねえ

「……黒幕は、捕らえられそうか?」

「いえ。……あの封蝋の刻印の証拠は、僕の記憶のみ。父は既に物証たりえるものを処分した後でした」

「犯人の証言は? 口止めされてるようなのか」

「話によると、黒幕との連絡手段を知っていたのは、ユーカラ・ネテタンという1人だけで、彼女は自害してしまいました」

「それで、証拠不十分、ってやつです。イサカーさんは頑張ってくれたけど、敵も用意周到だったんですよ……」

生き残った後の方が怖かったやつか

「敵、か」

「ええ。こうなった以上、カイズは僕らの怨敵です。……元々、血が繋がっているとは思いたくない相手でしたし。
 今回は引くしかありませんが……地道に証拠を集めて、いずれは報いを受けさせます」

「随分、ばっさり割り切れるんだな」

「血縁なんて、単に遺伝子が若干似ている事実に過ぎません。たったそれだけのことに、情を持つ義務はありませんから。
 第一、愛し合って結婚する夫婦にだって、血縁は無いのです。血の繋がりより心の繋がりですよ」

「一応、ヨナと私を育ててくれた恩はあるけど、……死なせようってなら話は別です。
 元から敵だったようなものだし、なるべきようになった、と思ってます」

そうか、とガドは頷く。血縁関係で手を緩めるような人物ではなかったことに、安堵する。
同時に、かすかに喜びも覚える。また一つ、『同じ』になったな、と。

「それなら、あいつは敵という前提を共有出来るな。……敵は、何故こんな計画を仕掛けたと思う?」

「……ヨナを消したかった、んじゃないの? ちょっと回りくどいやり方だったけど」

「それも間違ってないと思いますが、アイボリーの言う通り、回りくどいんですよね。
 僕を殺害するのが目的なら、もっと良い手段が有った。
 あんな、僕が冷静さを失って、誰にも頼らず無謀を働くのが前提の作戦、とても本命とは思えません」

「じゃあ、何だと思うの……?」

「恐らく、カイズは僕を殺すんじゃなく、心を壊して支配したかったのではないか、と。
 今更ですが……あまり、お見舞いの土産話にするような話題ではありませんよ」

「君たちさえ構わなければ、聞かせてくれ。今回の件は、俺も当事者だろ」

今後の身の振り方を決めるにも、判断材料は多い方が良い。
アイボリーとヨナは顔を見合わせて頷き、部屋じゅうをきょろきょろを見回した後、神妙な面持ちになった。
元々防音のなされた部屋だが、さらに人目を憚るように彼らは声を潜める。

「もうすぐ、次の大統領選なのは知っていますよね。カイズは既に引退したことになっていますが、影響は未だ根強い。
 とはいえそれも、飄凱政権になってからは、徐々に弱体化されてきましたが……
 ならばカイズが権勢を盛り返そうと考えるのは、当然の帰結でしょう」

「それが、どう今回の事件に繋がる?」

「憶測に過ぎませんが……僕は現在、アイボリーに対しものすごく傾倒しています。失えば立てなくなるくらいに」

「幼い頃から僕を知るカイズなら、そのことは承知しているでしょう。
 ……彼女を失えば、僕が抜け殻のようになってしまうことも。
 あまり考えたくありませんが、抜け殻になった僕は、恐らく今のように強い意志も、貴方が善良と評する精神も保てない。
 そこであいつに素知らぬ顔をして優しい言葉でもかけられれば、僕はカイズの傀儡に堕ちていたでしょう」

「…………」

「……それで、傀儡になったヨナを使い、ユリシスの権勢を取り戻すのが目的、と?」

「おそらく。……仮に成功していれば、飄凱派の威信にもダメージは与えられたでしょう。
 レーヴァテイル擁護派の中には、消去法で現政権を推している者も居ます。民族や性別による差別に否を唱える者も、多くは飄凱派です」

「そんな中、僕がカイズの一派に下れば、起きる混乱は目に見えています。父は飄凱とは真逆と言えますからね。
 ……そういうわけで、恐らく飄凱は今回の事件には関わっていないと考えられます。むしろ、今回に限ってはとばっちりだ」

「……捜査の不正は政権の腐敗によるものだ、と。そうニュースになっていたな」

「ええ。カイズは僕の支配には失敗したものの、飄凱への嫌がらせには成功している。
 “気に入らない思想を暴力で排除しようとした政権”──そういう風評を付けることこそ、この事件の本命だったのではないでしょうか」

非常に、非常に回りくどい。だが、実際にそれはなされている。
今回の事件とカイズ派の関わりを示す証拠は残らず、関わった蓋然性が高いのは俄然現政権だ。

「……たった、たったそれだけのために、私やヨナの命を、実行犯たちさえ、盤上の駒のように……」

「本当に取り返しのつかない事態は避けられたとはいえ、敵の目的達成の礎にされたのは気に食いませんね。
 とまぁ、これが僕たちの推理結果となります。……少し長くなりましたね」

「いや。……話すのも大変だっただろう、助かる」

「もし推理が外れていなければ、風評被害を受けた飄凱派も、一の矢を外したカイズ派も、すぐには追撃出来ない筈です
 僕を消せば喜ぶ支持者が居るとはいえ、今やれば大統領選に差し障る。ましてや、僕は一度は打ち勝ちましたからね」

「……飄凱は逸るだろうな。それで、研究所内部がどうなるか」

慎重に言葉を選ぶのは、染み付いた癖だ。どこに誰の耳がついているかわからない以上、下手なことは言えない。

「あんまり内部事情を話すのもアレだが、君たちは親友だしな。……例のプロジェクトに関わっている連中も、一枚岩じゃないんだ。
 派閥化が進んでて、事実より思想が優先され始めている。俺が仲を取り持ってるから、まだ前に進んでいるものの、な」

飄凱やカイズがどう圧を掛けて来ようと、ガドは既にいくらでも付け入る隙を作れる位置に居る。
武力行使とタイミングを合わせれば、致命的な混乱を生み出すことだって出来るだろう、と。

「……貴方が重用されているわけですね。僕たち自身、貴方の優しさに甘えてしまっている所がありますから」

「そうねぇ。今回の事件とか、その最たるものになっちゃった感ありますし……
 また大分長話しちゃいましたし。怪我人相手なのに」

「治る傷はもう治った後だから、心配しないでくれ。
 話してた方が気も紛れる、が……そろそろリハビリの時間だな」

「おや。では、僕らはそろそろ帰りますかね。
 相談にはいつでも乗りますから、ご無理はなさらぬように」

「また、暇が有ったら来てくれ。
 病人の身分だと、やることがなくて気が滅入るんだ」

「次は適当な本でも持ってきましょうか。
 退院したら、盛大にパーっとやりましょうね。じゃあ、お大事に」

親友夫妻が病室を去るのを、にこやかに見送る。そして、ちょうど入れ替わるようにリハビリの担当者がやってくる。
左手の動きは、どこまで取り戻せるだろうか。また武器を握れるように戻ると良いのだが。

【BGM:母なる妖蛆を愛せよ】

from メギド72 music BOX(寄崎諒)

アルトネリコ内部、シュレリア側近らの居住区に、慌ただしい足音とガーディアンの駆動音が鳴り響く。
非殺傷性装備の高速ガーディアンらが追いかけるのは、大荷物を背負った妙齢の女性。
荷物が重いのか、彼女の足取りは鈍いが、ワイヤーを使い閃光弾を投げ、あの手この手でガーディアンの追跡を押しとどめている。

しかし儚い女型に模られた肉体では、ガーディアンの俊足に敵うはずもなく。
やがて彼女は袋小路に追い詰められる。
塔の開口部に作られた、優美な柵のついたベランダだった。細かい目には、指の先すら通りはしない。

ガーディアンが捕縛用のトリモチ弾を放つ。しかし彼女は振り返り、それを詩魔法の一撃で弾き落とした。
走りながらの高速詠唱。生まれた隙に第二射を構えながら、彼女は謳声の合間にため息をしてみせる。

「……全く、ずいぶん物々しいこと。ガーディアンまで持ち出して、私のことを捕まえようなんて」

「大人しく出頭してくれれば、こんな事はせずに済んだのです」

ガーディアンの向こうに姿を表したのは、リンゲージを身に纏った管理者。
アルトネリコ管理者シュレリアは、何人かの親衛隊を引き連れ、メイゼンに敵意を向ける。

「出頭? ハッ、大人しく応じたところで、私の尊厳を守る気もないくせに」

「貴方は重大な不正を犯したのですよ。『管理者の意思』を騙り、警察の皆さんを扇動し──」

「救助隊と連携させ、アップルキッチンの怪我人を病院に搬送し、その襲撃犯を逮捕した。
 ……どこか、悪い要素が有りますか? 不正というなら、腐敗していた組織の方でしょう」

「それが例え社会を正すためだったとしても、私たちは人間たちにみだりに干渉をしない。
 ずっと昔から、それが私たちの方針です」

「……本当に不干渉を貫くなら、シュレリア、貴方は我々レーヴァテイルをこの世に復活させるべきではなかった」

「貴方が象牙の塔に引きこもっている間にも、社会は貴方の存在を好き勝手に解釈し、捻じ曲げ、レーヴァテイルを使っている。
 それとも、何? 今この時も受難の時を過ごしているレーヴァテイルは、貴方とは何の関係もない存在だと?」

【BGM:東京-試練は交錯する】

from 7th DRAGONIIIORIGINAL SOUNDTRACK&SONGS(古代祐三)

悪意をたっぷり込めて笑い、謳う。詩魔法はすでに巨大な蜘蛛の姿を形成し、ギチギチとリズミカルに牙を鳴らしている。
蒼天に清々しく鳴り響く悲鳴のような謳声は、神の存在を認めた上で、それを痛烈に批判する歌詞だ。
オブラートに包むことをやめた批難、叱責、そして憎悪──それらは、シュレリアを威嚇するに十分な濃度だった。

「それに、これはお膳たてのつもりだったんですよ? 貴方が、レーヴァテイルの擁護者になるための。
 シュレリア、貴方は一言『メイゼンの行動を支持する』と言えば良かったのです。
 たったそれだけで、貴方はレーヴァテイルの創造主としての責任を果たせたというのに……」

「だとしても、この世界の、アルトネリコの管理者としての責任の方が重大です。
 私がどこか一陣営に肩入れすれば、それこそ諍いの引鉄となる。……今度こそ、世界を滅ぼしてしまうほどの。
 例え歪みを正そうとする意思であっても、私は干渉してはいけないのです!」

これだから!HDセロファンの設計者でてこい!!

「差別問題に中立はあり得ない。貴方の肩書きで不干渉を表明することは、即ち強い方の肩を持つことである」

「なら、どうすればいいの? 本当の意味で不干渉を保つには……」

「それくらい自分で考えなさい。私は何度も諫言してきましたが、もう愛想が尽きました」

メイゼンが腕を振る。それを合図に、黒い蜘蛛が吼えながらガーディアン目掛けて糸を吐く。
高速で放たれた糸の幻影は衝撃波を纏い、ガーディアンの装甲を傷つけシュレリアにまで襲いかかる。
だが、彼女の親衛隊のヒュムノスが防壁を展開し、攻撃を防いだ。人魚のアイコンは、リューンのものだ。

「……メイゼン先輩、こうなるってわかってたんですか」

「ええ、リューン。一応、シュレリアが改心してくれる可能性にも賭けてはいましたが」

「改心? 改心すべきは貴方でしょう、メイゼン。裁きを受けて罪を償うのです、そうすれば、命までは取られませんよ」

「命? ……この私が、今更命を惜しんでいるとでも?」

再び、メイゼンの詩魔法が起動する。怒気を孕んだヒュムノスに合わせるように、蜘蛛の姿もまた禍々しくなる。

「私はね、時間が惜しいの! もう144歳、残り6年の命。何もかも自由でなかった144年!
 レーヴァテイルだからとあらゆる名誉を辞退させられ、それに異を唱えればどうだ!
 幽閉され、記憶と個性を消され、待っていたのは無能管理者の子守役!」

「不完全な記憶処理と私の記憶力のおかげで、私は自分を取り戻すことが出来たけど……
 私はこの立場から、この世界を変えようとした。シュレリア、貴方の側近という立場を使って。
 幾度となく助言した、何度もレーヴァテイルの代表としての身の振り方を改めさせようとした、
 宥めすかして媚び諂って貴方の言質を取り、政策を少しでもレーヴァテイルのためになるものにしようとした……」

「でも結局、ちょっと人間に泣きつかれただけで、私の言葉なんて意にも介さなくなるんだから、
 これ以上媚を売っても意味がないと判断した。私の尊厳が削れるだけだもの。
 だから戦うと決めた。貴方を管理者の地位から引きずり下ろし、二度とレーヴァテイルの代表ヅラ出来なくしてやるの」

「……そこまで言うのなら、もう貴方は私の側近ではありません。貴方の自由にしなさい、出来るものなら!」

「あはっ、やっと言質が取れた。──もう怒りも絶望も隠す必要がない、なんて清々しい日なんでしょう!
 これ以上、私の寿命は一秒たりとも空費させない……させるものか!!」

地団駄を踏み鳴らすのに合わせて、蜘蛛が踊って糸を吐き散らす。ガーディアンに向けて──そして、ベランダの柵にも向けて放たれる。
メイゼンはこの柵の設計図を覚えている。建設から時間の経った今、どこにガタが来ているかも知っている。
蜘蛛の糸に砕かれた柵が揺れる。メイゼンはそこに体重を掛け、バキ、と崩れる音がした。

【BGM:Free Flight】

from ACE COMBAT 5 THE UNSUNG WAR O.S.T.(小林啓樹)

「あ──そんな──メイゼン!!」

柵ごとメイゼンは傾き、足が床から離れる。眼下に広がるのは、広い、広い空。そしてホルスの翼。
メイゼンは、空中に投げ出される。真っ逆さまに落下を始める。

「さよなら、リューン……元気でね」

呟く声は、猛スピードで風を切る音にかき消される。叩きつける空気の圧に、呼吸を忘れかける。
延々と続く浮遊感も相まって、意識が遠くなる。それをどうにか押しとどめながら、リュックのベルトのアタッチメントを操作した。

ばさっ、と音を立てて、パラシュートが展開される。減速分のエネルギーが全身にかかり、メイゼンはえずいた。
緩やかになった落下を制御し、ホルス翼上に降りるよう軌道を調整する。向かう先は左翼、まだ開発の及んでいない山岳地帯。
ここまでは計算通り。だが高く伸びた木々の枝葉に傘が引き裂かれ、糸が絡まり、パラシュートが機能を停止してしまう。

「ううぅわあぁぁあぁっ!?」

バキバキバキバキ、幾つもの枝を折りながら、メイゼンは木立の中を滑り落ちていく。
腐葉土の柔らかな地面に激突し、ゴロゴロと転がって呻く。全身打撲だらけ、擦り傷だらけだった。
だが幸いにして骨折や枝が身体に刺さることはなく、ものすごく痛いだけで済んだ。

締まらないおばあちゃん……

ものすごく痛い

「ものすごく痛いだけで済んだ」ってのがなんかすき

リュックからパラシュートを切り離し、治療用ヒュムノスの詠唱を行う。
数分ほど詠唱を続け、傷があらかた癒えた頃、枝と落ち葉を踏みながら、背の高い人影が現れた。
浅黒い肌に淡い色の頭髪。肩に立派な鷹を乗せた青年は、メイゼンに歩み寄るとその手を差し出す。

【BGM:叡智の埋め火】

from 若葉亭冒険日誌3(houyhnhnm.)

「随分な有様だな、メイゼン。あんた程の天才でも、ぶっつけ本番でのパラシュートは厳しかったか」

「久々に再会して第一声がそれ? 相変わらずデリカシーの無い男ね、テオルクネス」

青年の手を借りて、メイゼンは立ち上がる。服についた土と枯葉を、軽く手で払う。
彼はテオルクネス。旧知の仲であるテル族で、今は政府で働いている。

新テルダー!

またひとり長髪男子が増えた(歓喜)

「普段あちこちに気を遣いすぎて疲れてるんだよ……
 まぁ、現世で再び顔を合わせられるとは。再会は素直に嬉しい」

「……こっちも。どんな道に進もうと、生きててくれて何より。
 さて、積もる話は山々だけど、さっさと右翼側に送って頂戴。もう一秒たりとも無駄にしたくないの」

「……本当に、紅の慈善財団に行くのか? 会長は良い奴らしいが、きな臭い噂もある。
 今ならまだ遅くない。俺が口利きすればどうにかなる、飄凱殿に付かないか?」

「イヤ。カイズ一派は有り得ないけど、同じくらい飄凱もナシ。
 確かにこれまでの大統領に比べたら、ずっとマシかもね。テル族を因習から解放しようとし、シエール系以外の人間も重用している。
 でも、レーヴァテイルに対してはゲロかヘドロかくらいの違いよ。いくら時間がないとはいえ、あいつに阿るくらいなら死を選ぶ」

2人は旧知の仲だった。しかし、その立ち位置は今や大きく離れていた。
テオは自らを縛る因習を解こうとする飄凱に心酔し、メイゼンはそれを糾弾する側である。

「それでも、他の差別が解消されれば、その次にはレーヴァテイル差別の解消だってなされるはずだ。
 第一、この問題で下手を打てば、レーヴァテイルとそれ以外での全面戦争になりかねない。
 最終戦争が起きれば、犠牲になるのは力の無い奴や子供たちだ」

「そうやって、あと何百年かかるかもわからない順番待ちを強いるの?
 私が報われないのは結構、生まれた時代が悪かったと諦めもついた。
 でも、私の後に生まれた子たちにまで、そうやって諦めさせたくないの」

「……平行線だな」

「そうね。私たちは分かり合えないところまで来てしまった」

「だが、あんたのことは憎からず思ってる。
 ……あんたの行方について、俺は知らぬ存ぜぬを通してやるよ」

「ありがと。私も、貴方が私の味方をしたことは、“天国”に還るまで持ってってあげる」

「ああ。……じゃあ、転送する。移動先は計画通りでいいんだよな?」

メイゼンは頷いて、重ねた手を握ってみせる。テオはそれを認めると、内ポケットから掌サイズのダークミラーを取り出した。
短く呪文を唱えて、彼は移動先を確認すると、特に宣言することなく詠唱を始めた。

『目を閉じて 暗闇は時と渡りを入れ替える 夢む事もない 星たちの行方は──』

気分の悪くなる浮遊感。体のあちこちを別々の網が掬って、息を合わせることもせず引き上げるような。
彼の連れている鷹が鳴いたのを合図に、メイゼンは目を開ける。

ホルス右翼、真っ当な人間ならば一生目にする事も無いであろう、薄暗い貧民窟の片隅。
そのさらに見捨てられたような物陰に、2人はテレポートしてきた。

「うわ、きったねえなぁ……本当に大丈夫なのか? こんなところで」

「手立てはあるからご心配なく。でも、貴方はさっさと去った方が良いわ」

「勘弁してくれ、何度も連続してテレポートなん出来るかよ……」

言いながらも、この場所に対する嫌悪感が勝ったのか、彼は間も無く術を行使して姿を消した。
それを見送ってから、メイゼンはおもむろに詠唱を始める。
秘密裏に開発し隠匿していた、『生まれ変わる』ヒュムノスを。

【BGM:「じぶん」になる】

from メギド72 music BOX(寄崎諒)

「Was yea wa morto en quen mea── / 私が死んで、私が生まれる──」

彼女の姿が光に包まれ、溶ける。一度水たまりのように広がった後、それは再び形を成す。
背丈や体格は元とあまり変わらず、しかしその顔つきや髪色は大きく異なって、詠唱終了と共に光は散った。

「……思ったほど変わらない。筋骨隆々の大男になりたいって願ったのに。
 やっぱり、現行のβ純血種じゃ派手な肉体改造は無理か」

独り言を呟きながら、彼女は造り替えた身体をぶんぶんと振り回す。
そうして、悪臭と薄暗闇の中、どれほど待っただろうか。やがて、待ち人が訪れた。

「…………」

光り輝くような銀髪の少女と、メイゼンはしばし見つめ合う。
そして言葉を発さずに確認する。第一紀に造られ忘れられた、レーヴァテイルの精神世界を繋ぐテレモ回線で。

「……導師ザン。お迎えにあがりました、『フレリア様』」

「貴方、そんな顔をしてたのね。……紅の慈善財団に行くから、道案内をお願い。
 で、目的地周辺になったらまたお別れよ。……『布教』、これからもお願いね」

「はっ」

マジで教祖様じゃん

大男はね FLIPの領分だからね……諦メロン……

声にするのは最低限。迷うことのない足取りで、2人はまずこのこの世の最下層の出口へと向かった。

【BGM:まつろわぬ四冥王】

from メギド72 music BOX(寄崎諒)

「事件の後処理は順調。最終的に、テナントビルの修理代を弁償することで決着したそうです。
 無論『謎の傭兵』については争点になりましたが、弁護士殿が上手くやりこめたようで。
 これ以上の追及も、今は行われないでしょう。現政府は、紅の慈善財団に対し身動きがとれなくなりました」

「ニンゲンどもの派閥争いの所為、ケ? ……勝手に同士討ちとかしねィかね」

「勝手に、は有り得ないでしょう。そこまでの愚かさを期待してはいけません。
 ……こっちから間諜を送り込むなら、話は別ですが」

「ま、へなちょこカタツムリが相手じゃ戦争のしがいがねィしな。
 間諜ってやァ、ガドのヤツはどうなんだ。まだアテに出来るンか?」

へなちょこカタツムリ(殻あるだけ温情)

「どうやら現場復帰が叶いそうだ、とヨナ殿から」

「自分で話振っといてナンだゲ……よく復帰出来ンな……」

スカー、アンジェラ、レイヤ、ビャッコ。赫の天秤の中枢メンバーによる会議は、ようやく一通りの前提を共有し終えた所だった。
如何せん多くのことが起こりすぎた。突然の悲劇、そこからの逆転劇、そしてそれによる情勢の変化。

「……そして、『メイゼン』か」

「ええ。シュレリア側近のメイゼン・アルベルティは、越権行為の責を問われ投身自殺。
 それと日を同じくして、同じくメイゼンと名乗るレーヴァテイルが慈善財団に保護されました。
 彼女はヨナに対し『自分はメイゼン・アルベルティと同一人物だ』と語っていますが──」

「拙者はヨナと共にそいつを見た。……到底同一人物とは思えぬで候。
 髪の色も声の高さも顔立ちも、変装の範疇でない変貌ぶりで御座る。ゼッペンなら可能であろうが……」

「メイゼンは昔からレーヴァテイルの権利向上を語っていた。生きていたとは知らなんだが、こちら側につこうとするのは理解出来る。
 だが、その奇妙な変装技術といい、何故今になって動いたのかといい、不明点は多い。
 ……ヨナは彼奴を、通常のレーヴァテイルと同様に保護したのだったな?」

テッテレー ヒュムネコードスカウター!

「そう聞いています。
 書類上は『メイ』という偽名となり、身元不明のレーヴァテイルとして、法的に紅の慈善財団の保護下に入りました」

「それで、彼奴はヨナに対し何か要求しているのか?」

「保護レーヴァテイルとしての通常の扱いを。
 それから、ヨナにこのようなものを渡したそうで。写しです」

差し出された資料を広げ、手書きと思しき図面と文字を追う。
その内容の質に、驚愕と訝しむ唸り声が漏れた。

「アルトネリコ内部の地図の一部、だねィ。
 わたくし様の記憶とも合致してンし、それ以上に詳細だ。
 しかも、多分シュレリアのヤツが把握してにィ部分まで揃えてやがンな」

うーん10%結線=サン

w

「……それを、『ヨナに』渡したのだな」

「はい。彼女は慈善財団が反政府勢力と繋がっていることを、ほぼ確信している……そう考えて良いでしょう。
 そして、恐らくはこちらの味方。
 彼女は警察とのコネもあった、いくらでも告発出来たというのに、それをしなかったのだから」

「……だが、敵側の間諜という可能性も捨てきれぬ。今暫くは、要注意人物として置いておくべきだ。
 ヨナの食客であるなら、彼奴に対応させるのが良かろう。……そろそろ過労が心配だな」

「秘密組織である以上、分業にも限界が有りますからね……こちらの方針は伝えておきます」

「この地図は保管しておく。
 どこまで信用出来るかはわからぬが、アンジェラの記憶と合致する以上、最低でも参考には出来よう。
 ……メイゼン、フレリア教に関しては、今後も調査を続けよ。
 同じ目的があるのなら、同盟を組むことも視野である」

「その上で、今後の作戦についてだが──」

地図の写しを机から退け、スカーは元々広げられていた一連の書類を見渡す。
テレ倶楽部との協定についての現在のまとめ。ガド・クリファによる間諜の報告の最新版。
飄凱・グラステルンの素行調査。赫の天秤が保有する全戦力のリスト。他にも、様々な資料が並べられている。

「次の大統領選前に動く。……待ちの姿勢はここまでだ。ニンゲン同士が些細なことで啀み合っている、今を逃す手はない。
 最初の一手はレーヴァテイルコントロール計画の阻止、ミュールの『救出』。まず、我輩が考えるのは──」

長い雌伏の時を経て、ついに戦いの火蓋が切って落とされようとしている。
敵は強大かつ広範、しかし今や赫の天秤は──自由を求めるレーヴァテイルたちは、多くの盟友を持っていた。

経験点配布

基本経験点:25
基本リーフ:800

アイボリーが無傷だった:フラグ『死が二人を別つまで』成立 レプリカホルン×1
ガドが生存した:フラグ『君の親友』成立 第四話の展開が大幅に変化

クリティカル・ファンブルの数×1点の追加経験点
シフラ:クリティカル3
RT77:クリティカル2
ヴラクトゥアス:クリティカル1
アヴェルラ:なし

レプリカホルンは相談の上誰かが持つor売って分配する、でお願いします

==第四話追加要素==
 【必殺技発動条件の緩和】
 必殺技の発動条件を少しだけ緩和します。
 「[必殺技]カテゴリは1戦闘1回だけ」から、「必殺技それぞれにつき1戦闘1回だけ」とし、必殺技の複数取得の旨味を増やします。
 無論、敵側も同じことをするようになります。

ほうほう

==次回予告==

【BGM:真理の継承者】

from 「Code:Realize~創世の姫君~」オリジナルサウンドトラック(Peak A Soul+)

大統領選が迫る中、赫の天秤は千載一遇のチャンスを得る。
──なんと、現大統領・飄凱が、国営研究所の視察に訪れる日取りが明らかになったのだ。
元よりミュールの“救出”作戦を立てていたスカーらは、これに便乗し飄凱抹殺計画を企てる。
密通者ガドの手引きにより、着々と準備が進んでゆく──より大きな歴史のうねりの中で。

この世界を愛する者は、それを守るべく命を賭けて。
今生にて全てを成さんとする男は、全てを欺き事を成し。
今生を諦めた子供たちは、死後の天国を冀い。
誰もが希望を持って選択する時にこそ、地獄は大きく口を開く。

「世界中の何もかもが、もしかしたら君自身さえ、いつか君の敵になったとしても……
 俺は、俺だけは味方だよ。絶対に裏切りはしない」

死にゆくこの世界における、善悪とは何か。
少なくとも、裏切りが邪悪であることには変わりない。

 アルトネリコTRPG レーヴァテイル戦争キャンペーン
 【傾かざる赫の天秤─Rre prooth deata na cenjue─】第四話
 『剥片の如き殉教者たち─Dhezeall re Deggeez art Nosaash─』

A.D.3395、立ち止まるにはもう遅い。

マスターシーンと次回予告は以上!

お疲れ様でした だいぶ時間かかっちゃってすみませんね

3395ってことは翌年か

おつかれさまでしたー

おつかれさまですー

おつかれさまです

どうしよ、なにするかなあ

一応こちらからは、
 「愛と慶福の名の下に」:ハノンお見舞い回
 「Presia yehah irs」:↑の続きで、レイヤがヴラさんを呼び出す
 「Life is......」:ガド快気祝い回
 「リリスの子供たち」:メイゼンの暗躍&アンジェラが愚痴る回

を予定しています

ひええ次回予告不穏!って思ったけどいままでの次回予告もたいがい穏やかじゃなかった(そらそうよ)

ミュール、別の未来をあげたいなぁ……

保護したらしたで、箕嵩さんがこっちにかち込んで来そうだが

ミュール、別の未来、あるといいですね。(一応想定してます 原作者に刺し殺されそうだけど)

実際難易度クソ高そうだけど……まあ我々ガドさんを救えたんで? いけるいける

特に他にやりたいことなければ、メインは引き続きこちら主導のハノンお見舞い回になりますが

どうぞー

どぞー

おねがいしまーす

お見舞い来たい人ー

容態はもうほぼ回復してて、念の為もう少し安静ねって言われてる状態

こっちは見てるだけ

お若い人たちに任せよう

おk じゃあヴラさん呼び出しはあとで別口でやりますね

それじゃあナナちゃんとアヴェルラさんはお願いしまーす(つい登場判定どうぞって言いかけた)

w

ファンブルしたので終わりですまで見えた

『愛と慶福の名の下に』

【BGM:聞き慣れたメロディー】

from Fate/Grand Oeder Original Soundtrack I(芳賀敬太)

事件の後処理が大方片付き、アジトの雰囲気もいくばくか和らいだ頃。
アヴェルラ、RT77は連れ立って、先の件で大怪我をして療養中の、ハノンへの見舞いに訪れていた。
なぜか聞きつけたイナミも一緒だ。ずっと看病についていたから、今も様子を気にかけているらしい。

アジトの個室の一つ、普段は新たなメンバーやプロジェクトのための空室である部屋が、今のハノンの居室だ。
君たちが彼女の部屋を訪れると、寝間着姿のまま帽子だけ被ったハノンが、寝台にちょこんと座って出迎える。

「あ……皆さん。お見舞い、来てくれたんですね」 嬉しそうに破顔する。見た感じだいぶ元気そう

「こんにちはッス、ハノンさん。気分はどうッスか? 辛かったら、無理に話さなくて大丈夫ッスよ」

「快気祝い。食べろ」(どさっと果物を置く)

「おはよ、ハノン。前より顔色よくなったようにみえる。よかった」

「はい、もう痛みは引いたし、ご飯も普通に食べられましたし……
 あ、果物、ありがとうです。……こんなにたくさんは食べきれないから、一緒に食べてくれますか?」

「…………」 止まり木で寝ているようだ

ピーちゃんかわいい

「……」アヴェルラとイナミをじっと見る

「なら、皮むきとカットは任せろーッス! 自分、センパイに習ったんで、りんごでうさぎちゃん作れるッスよ!」

りんごうさぎ、ポイント高い

「おお、イナミ、器用。うさぎりんごはすごい」

「じゃ、じゃあ、わたしも手伝います。
 みんなでやった方が早く剥けるだろうし……」 と言って開いてた小説本を仕舞う

病人が手伝うなw

大人しく見舞われておきなさい!

「ハノン、動くな。体調に響く」

「うん。見舞いに行ってその病人を働かせたら本末転倒だもの。きょうのハノンは食べる専門」

「……わかりました。じゃあ、待ってます」

と言ってまた小説を開く クッソ分厚い

「当機が搾る。コップ必要」

「えっ……絞る?」

搾る

握りつぶすとも言います

芯抜かずにやれそう

そこのお前! レモン1個分のビタミンCはお前! お前レモン!

w

「この果物を、こう……」手でぐしゃっとするジェスチャー

「なるほど……超フレッシュジュースってわけッスね! コップ、すぐ持ってくるッス!」

と言ってばびゅんと退場 次のセリフしゃべる時に戻ってきます

「ハノン、どれがいい?」

「えっとね、わたし、ジュースならオレンジが好き……」

「わかった」ひょいひょいっとオレンジを取り出します

よかった搾りやすそうなやつだ!

モモは食べるのが好き、りんごジュースも好きだけどうさちゃんを見たいので遠慮した感じ

搾られるうさちゃん

いーやーw

きゅっきゅってれべるじゃねえ

ぐしゃ

「戻ったッスー!」 人数分のグラスを持ってきた

「おかえり、ありがと、イナミ」

人数分のコップを満たすだけオレンジ搾るのだいぶ重労働では?と今気づいた顔

だと思う

一個で一杯分……にはならんものなぁ……

というかオレンジの数足りない説

追加追加もりもり

望まれただけ存在するオレンジ

数を描写していない……つまり……段ボール箱一個分のオレンジでさえありえるということ……!

「じゃあ始める」

「任せたッス!」 グラスを渡します

オレンジ! 握りつぶす!

手が小さいのでグラスを置いて両手で圧縮しながら潰します。びしゃびしゃ

ばしゃばしゃ

服に飛び散りますが気にしません。

「大体3人分」

「あ!ナナ、まっt……あー」制止おいつかなかった

まっtあー、すき

わかる

「こ、これが人力ミキサー……!」

「あわわ……大変なことに……」

「汚れた」服で手を拭います

きょろきょろと視線をやって追加の獲物を探します

獲物w

「こ、このタオル、まだ使ってないから……!」 ベッドサイドに積んでたタオルを差し出し

「……」じっとタオルを見て(何に使うんだ……?)の顔をする

搾るではなく絞る

すれ違いコント。タオルは絞れない

いや濡れてればいけるな?

これが伝説の雑巾の搾り汁で入れたお茶か……

ねんまつにでるやつ

「それでナナちゃんも手ぇ拭いて、りんご食べるッスよ〜」 裏で剥いてた オーソドックスなうさちゃん切り

オーソドックスなのか……

猫貫通セーターとかのセンスは発揮されてないようでよかった

www

残った皮でヤバい飾りが生成され……?

いやほんとはやりたかっただろうけど技術的な問題で出来ないんでしょ

ぎじゅつぶそく。それは仕方ないな!

「当機はすでに手を拭った。食事は……」必要ないと言おうとしてちょっと考えて「少しだけもらう」

タオルは一応受け取ります

成長した!!!えらい!!!!

……はっ! それで気づいたけど

さっきナナちゃん三人分でオレンジ搾ったな???

気づかれたか

勧められたら食べる、ぐらいの気持ちしかないので

自分が作るときは自分の分を除いてます

「ジュースもりんごもありがとう、です。いただきます」 むしゃむしゃごくごく

「ナナ」片手にオレンジ、片手に果物ナイフ

ナイフですぱっと半分に切って、断面を向けて下に向けてがんばって搾る
 「こうすると、丸のままで搾るよりちょっと簡単。さらに飛び散りにくい」
 そしてできた奴をそのままナナに渡す

ちょい手間ハイリターン

やさし〜

「……次回からそうする」受け取ります

「うん。今日ナナが作ってくれたのもおいしい。次回もたのしみ」ごくごく

「えへへ……あ、そうだ、ピーちゃん」 りんごのかけらを持って呼びかける

「きゅ?」 起きてハノンのとこに飛んでくる

「ピーちゃんにもおすそ分け。どうぞ」 りんごのかけらを差し出し

「きゅー」 目をきらりと輝かさせて食べました

ピーちゃんかわいい

じぃ……っとピーちゃんを見つめます

「……!!」 見つめられてることに気づいて、ハノンの陰に隠れる

「あ……この子、すごく恥ずかしがり屋で……多分、わたしに似て……」

「そーなんスよねぇ。レイヤさんにはなんか懐いてるみたいッスけど」

「生き物? 種別は? 生体は?」

「あ、えっと、ええっと、い、生き物です!
 鷹っていう猛禽類の一種で、護──わたしのパートナーなんです」

「護……」

RT77の護はいるのかな

心の護は、レーヴァテイルである限りは存在するはず

それがどのような形態をとっているかはわからないけども

PCたちの心の護、どんな形してるんだろうね……

壊れたモザイクみたいな……

あーーーー

四角粒子かな

四角粒子納得

そのアドレスに「存在しない」が入ってたらないけど、それが永続的なことはほとんどない?

このご時世、こっち側だとダイブすることってないだろうしな……

「テル族は、成人の証として、流派ごとに定められた生き物と契約を結んで、護になってもらうんです。
 ピーちゃんがいるから、わたしはいろんな魔法が使えるんですよ」

ジェノムだもんね…… >ピーちゃんがいるから~

イナミはニチアサとかの正義のヒーローが心の護になってそう

ナナちゃん、保護してくれた組織は実質護ってくれるものだからそのイメージは反映されてそう

たぶんスカーが出てくる

ミュールのアヤタネパターン!

アイボリーの心の護は 多分ヨナなんだけど ヨナにダイブされた場合ガド成分も混ざってでてくる

「当機も偵察用でほしい。護……入手方法」

「うーん……テル族じゃないと、わたしが言ってる意味での護は見つけられない、と思う……」

「となると、なんだかテル族が羨ましいッス……」 ぼそり

「同意」

護が実質ジェノムなら、見つけられても脳賃貸借契約が結べなさそうなんだよなぁ…ラシェーラ人要素入ってないと

ラシェーラ人のガバガバ遺伝子だから同調できるわけだしなぁ……

「うん。そういうパートナーがいるのは、すてきだとおもう」

「えへへ……そういえば、ピーちゃんと出会った時も、レイヤさんに助けられたっけ」

「はぇー……お二人は昔からのお付き合いなんスね。そういえば、そのレイヤさんはお見舞いには来てないんスか?」

「ちょっと用事があるとかで、今は──」

君たちの話が盛り上がって来たところで、扉をノックする音がした。

「ハノンさん、ワタシです。今、入っても大丈夫ですか?」
 常らしからぬ、めちゃくちゃ優しい声色

「あ……大丈夫です、どうぞ」

ハノンの返答に応じて、扉が開かれ、サービングカートを押したレイヤが現れる。
他の見舞い客の姿に、彼はわずかに目を眇めさせた。

【BGM:白き華に願う】

from メギド72 music collection vol.4(寄崎諒)

「……皆さんも来てらしたんですね」 声色が通常のものに戻る

「少し場所を空けてください。温かいお茶を用意してきましたので」
 サービングカートを押してくる

「噂をすれば影……」 ちょっと退いた

ハノンだけだと思ってた時と他の人たちがいると分かった時で声の温度が違うのいいぞいいぞという気持ちであふれる

他に誰もおらんかったらイチャイチャしとったんやろ!ええぞ!

特定の人物にだけやたら態度が柔和な普段クールタイプの青年、いいよね

いい…………

「ありがとう、です。レイヤさん……」 頬がほんのり桃色に染まる

「どういたしまして。さ、皆さん、ワタシのことはお気になさらずご歓談を続けてください。
 流石に、お茶は客人の分までは用意していませんが」

これは一般的に言ってお邪魔なのでは?

そうかも、しれないね……

ハノンは邪魔とか思ってないから安心してね

ハノン「は」w

www

とはいえハノンちゃんのお客なので表には出さない……

「感謝。レイヤの分も用意」

といってナイフを握る

「はい?」 ふぬけた顔

オレンジぐしゃ!

「……オレンジジュース」

ぐしゃ!

らんどぐしゃ

ナイフを握った意味は……?

さあ…………?

「…………」 ガチめの困惑

困惑されていらっしゃるぞ!

困惑www

桃生える

「…………」コップをレイヤに差し出す

「……これを、ワタシに、ですか。あ、ありがとうございます……」 受け取る 笑顔は浮かべた

よう取り繕ったな……えらい……

すまんレイヤ、ありがとうな……

作った本人は飲んでないから余計怪しまれそうw

誰だって目の前で素手でオレンジ握りつぶしてジュース作られたら困惑と畏怖に覆われると思う

それは

そう

www

ド正論 >困惑と畏怖

「ナナちゃんって、本当に力持ちなんですよ。
 わたしだけじゃ食べきれないんで、レイヤさんも果物、良かったら」 あったかいお茶を飲みつつ

「……なんとなく、果物の差し入れは要らなさそうという予感は当たりでしたか」

「ハノンちゃん、桃もどうぞッス! 固めで美味しいッスよ!」こっちはこっちで皮剥いてた

「大当たりだとおもう。みてのとおりだし」これだけ食べたり搾ったりしてるのになおだいぶ存在感を放つ果物籠をかるく指さす

「これはまた……食べきれなかった分は……お菓子の材料に提供すれば、チヴェッタさんあたりは喜びますかね」

秘技! 勝手に設定を生やす!

もりもり

持ってきた本人が全然食べないし減らない

「あ、それすてき。チヴェッタぜったいはしゃいで喜ぶ。レイヤさん名案」

「で、出来上がったお菓子は、またハノンさんに差し入れをすればいいでしょう」
 普段の態度からは信じられないような柔らかな笑みを浮かべ

まだフルーツ食べてしかいない感

いやまあハノンの顔見れたから十分だよ 確かにフルーツ食べてオレンジ搾ってしかしてない気がするけど……w

ごめんフルーツ馬鹿で……おいしかった……無事確認できたのでこれ以上は特に希望なしです

あとレイヤさんの柔らかな笑みを見られたので(好き)(拝む)

www ではこのシーンは締めていく方向でやっていきますね

はーい

「……ずっと思ってたッスけど、レイヤさん、ハノンちゃんには本当特別甘いッスよね。
 看病にまできてるみたいッスし」

「……ワタシはいつでも皆様方に優しいでしょう?」

「通常営業?」

「レイヤさん、最近いつにも増して優しいんです。
 眠れるまで側に居てくれたり、わたしの好きな本を探して来てくれたり」

「……人として当然の態度ですよ。ハノンさんに対しては、責任もありますし」
 若干居心地悪そうな顔をした

「レイヤさんのことはあんまり知らないッスけど、あんな優しい顔してるの、今日初めて見たッス」

「でも、責任? ──まさか」

「何を想像しているのですか」 マジトーン

おめでたか!?(そんな余裕はない)

「まぁ、責任、というのは……
 ハノンさんを赫の天秤に誘ったのは、ワタシですからね。保護者のようなものですし」

「そうだったんだ」(そっちの意味でよかった)

「なら一安心ッス……」

「ともかく、今回ハノンさんが酷い目に遭われたことについて、ワタシも責任を感じているということです。
 ……ムノフの末裔でありながら、情けない」 後半は小声で、自分に毒づくように

「レイヤさんは気に病まなくていいけど……でも、優しくしてくれるのは嬉しいもんね。
 この後、レイヤさんやみんなは、まだ時間はありますか?」

「自分はもうちょっとなら良いッスけど」

「ハノンさんの頼みならば」

「だいじょぶ。今日のおしごとは超特急でもうぜんぶ終わらせてきたから」

仕事がはやい

それだけお見舞いに意識がいってたからね

そしてその過程でちょっと危険運転してチヴェッタに叱られた(無からエピソードを生やす)

「問題ない」

「じゃ、じゃあ、もう少しわたしと遊んでくれませんか?
 読書も楽しいけど、カードゲームとかやりたいな、って……」

「カードゲーム。興味がある」

「ならワタシはゲームマスターを務めましょう」 参加すると一人勝ちするので

予知はつよいね

そりゃそうな…… >一人勝ち

単純にポーカーフェイスがくそ強いので能力なしでも勝つ

TRPG内でTRPGするのかと思ったゼ……

77も強いぞ(無表情)

そうだな

──そんなこんなで、嵐の後の平穏は過ぎてゆく。
カードゲーム大会は大いに盛り上がり、ハノンの気持ちを明るくさせたようで、
彼女が病床を出たのは、その後すぐのことになった。

0時過ぎたので今日はここまで! お疲れ様でした!

ワーイワーイ

お疲れ様でした

おつかれさまでしたー

おつかれさまでしたー

お疲れさまでした!

次回はヴラさんをレイヤが校舎裏に呼び出すやつをやります それ以降もやるかは未定

校庭裏www

ヴラさんが締められる回

ココフォリアでもまあまあなんとかなりそう キャラミスには気をつけなきゃだけども

それな

戦闘は戦闘でまた別のめんどくささが出てくるけど

とにかくキャラ間違え起こしやすい……

しょうがないね

万能ツールは難しい……

まぁ試行錯誤とかしてみます どどんとふの不便ポイントが解消されてる部分も多いし

とりあえず2つほど

[メイン]アイボリー:「はい。……知っているなら話は早いですね。その崩壊と露見のきっかけになった『導力暴走事故』── ←インターミッション2より

これについて詳しく

それから やっぱりビャッコさんと話す機会欲しいのでなんとかならないかな

了解です 前者については……どう語ろうかな 誰の口から聞きたいかによるかな

後者は、「リリスの子供たち」でアンジェラと一緒にビャッコも出るので、そこに行けば話す機会はあります

もしもっとゆっくり話したければそこから発展させていってもいいし

ビャッコさんのほうは了解 様子見てみる

前のほうについてはもしよければRPではなくPLレベルで情報知りたい感じ

おk まとめておきます

おねがいしますー 急ぎではないのでゆっくりどうぞ

今日、GMの方ではヴラさんに来てもらう予定です 時間が残るようだったらガドの快気祝いまで始めるかも

やったぜ

ガドさんにも搾り汁を提供されてしまうのか……(飲まれるとは言ってない)

www

www

今日はまず、レイヤがヴラさんに話をしにいく回から ヴラさんの方からレイヤに何か言いたいことがあれば、ここでやってもいいでしょう

はーい

シーンの導入としては、こちらからヴラさんのところに出向く予定ですが、

何してるところに突撃しましょうかね?

うーん、特になにかっていうと……ないかな……まあ話すなら寒くない方がイイネ……

何もなければ雲海釣りしてるところにでも行こうと思ったけど

放火かな?

放火帰り?

放火は草

スッキリしたいい顔で迎えてくれるのは間違いないな

じゃあなんらかの放火帰りということにしましょうかw

いや字面ひでえな

www

どっかしらの通路途中ならテル機密っぽいことも話せそう(あるのかは知らない)

じゃあそんな感じで 描写作るんで少々お待ちをー

『Presia yehah irs』

【BGM:The Prophecy】

from OneShot Soundtrack(Nightmargin (Casey Gu), ft Eliza Velasquez and Michael Shirt)

ヴラクトゥアス、今日の君は破壊工作の一環として、派手に火を付けてきた帰りだ。
チームメンバーとも別れて気ままにアジトに戻る最中、君を待ち受ける人影がひとつ。

「ごきげんよう、ヴラクトゥアス殿。今、時間はありますかね」

「おや、レイヤ殿。ええ、ええ、構いませんとも。次の火付け先ですかな?」満ち足りた表情

要件なんでもかんでも火関連だと思いやがって

「いえ……そうではないのですが。元気そうですね、アナタ……」 やや困惑

「それは残念。ですが今に関してはそれも些細なこと。
 此度の炎上は実に素晴らしく……」延々語りそうな

「報告は後ほど詳しくお聞きしたく。
 帰りがてら、少し、頼みごとを聞いてくれませんか。
 ……組織としての、ではなく、ワタシの個人的なものですが」

「ム、おおっとこれはつい。しかし私的な頼み事とは。
 受けるかどうかは内容を聞いてからでも?」

「ええ、それで構いません」

「わかりました。では道すがらに」歩き出す

こちらも並行して歩き出し
 「では、話を。用というのは……」 彼にしては珍しく言い澱み

「……ハノンさんのこと、です。彼女があんな目に遭ったのは、畢竟ワタシの所為ですから。
 浮世の魔手から逃れさせるべく、ワタシは彼女の手を取りましたが、
 ……結局、運命は変わらなかった。変わったのは、一先ず今は命を取り留めた点のみ」

「ふむ」相槌うって先を促す

『のみ』ってそれはめちゃめちゃ変わってらぁな

死んでたかもなことを思えば……いやでも見えてる範囲が違うのかもなぁ

ちょっと先に送っただけのアレ

「……ワタシのムノフとしての能力は、さほど強くはありません。それでも分かるのです。
 ハノンさんの未来は閉ざされているということが。……どう足掻いても、彼女には凄惨な結末が待っている。
 あの事件を超えれば、何か変わるかと思っていました。ですが、依然彼女に関する予知は変わりません」

「私にはムノフがどのように先を見ているのかを知ることはできませんが……それほどまでに、と」

「ええ。遠い未来であるほど、予知は抽象的にしか捉えられませんが……
 どのような道を辿れど、彼女は悲嘆のうちに一生を終える……そこだけは、変わらないのです」

ハッピーエンドはないんですか!?

レイヤに引っかかった時点でこのエンドは変わらないんだなあ

幸せ絶頂期に刃を突き立ててしまえば……本末転倒

発想がクロガネ

ツッコミが的確過ぎる

「なるほど。話は見えてきましたが……私への頼み事とは」

「何も、ややこしいことではありません。
 ただ、ハノンさんの行く先が幸福であるよう、アナタの助けが欲しいのです。
 ヴラクトゥアス殿、アルカであり、長年の逃亡生活という経験を持つアナタの力が」

「念願成就を、ですか……」難しい顔

「いえ、何も能力そのものを使って欲しい、というわけではありません。
 ……赫の天秤が健在の間は、このアジトがシェルターになるでしょう。
 ですが本格的に宣戦布告し、仮にこちらが押し負ける状況になれば、そうでもなくなる。
 スカー殿は最大限彼女を守ろうと動いてくれるでしょうが……それでも、いざとなったら」

「彼女を何処か、安全な所に案内してあげてください」

これがお願いの全貌です

もっと難易度低い方だった

「……なるほど、なるほど。それは確かに私向きと言えるでしょう。しかし……この話を本人は存じ、受け入れているのでしょうか」

「……」 黙って首を横に振る

「くれぐれも、当人には内密に。……話したところで、結果は見えていますから」

デスヨネー

うーん、受けた方がいいのかどうか悩むなーw

どっちでもいいですよ 適当に答えてもいいし

ヴラくん的には断る理由がそんなにないんだ……でももし最期を迎えるとしたら一緒にいてほしいPL心……

それな

保留で、とかでもレイヤは引き下がりますので

よし、保留で!(逃

「いやはや、それは全くその通り。……ひとまず、心の内に留めておきましょう。巡りも想いも時で変わるやもしれません」

「む……」やや不服そうな顔を見せたが

「……わかりました。今はそれで良しとしましょう」

レイヤからの話はここまでです

何もなければレイヤはまたどっか行っちゃいますが、話したいことがあれば引き止めることはできます

じゃあ危機管理も兼ねて予知情報横流し(?)してもらおう。ちょと待てね

どうぞどうぞ

「それでも立ち行かなくなった時には……と、前向きには捉えておきますよ」

「ええ、お願いしますよ」

「その話に通ずるかは定かではありませんが……
 予知で視たものを幾つか話して頂けると手を貸しやすくなると思いますよ。無論、無理にとは言いませんが」

「ふむ。例えば、どのようなことを知りたいですか?」

とはいっても先を知らないので難しいネーなんかあるかな……

とりあえず悲惨な最期とやらを軽めに掘って……宣戦布告後の勝ち負け割合とかかな……負け割合多いと覚悟要り増ししそうだし

「そうですね……結末の傾向を語らせるのは些か酷でしょうか。天秤の存亡がどの程度の割合であるかを」

「ふむ、……」 笑みを顔から消し

「……五分五分、でしょうね。万事恙無く我らの計画が進めば、必ずや我らは勝利を残す。
 しかし実際には、そうはならないでしょう。……地獄の口はどこにでも開いている」

「寡戦で五分もあれば上等と言えましょう。視えぬ者の楽観でもあるのでしょうが」

一個でっかい山を越えたとこだし……

「ワタシが、必要以上に悲観的になりすぎているだけやもしれませんし、ね」

「何、見落として穴に嵌るよりは余程いい。兎角、成せることを為すまでです」

「報告書も書いたことにして燃やしてしまえれば楽なのですが……そうも言っていられませんね」

「事実の記録は重要ですからね。勝つにしても、負けるにしても。
 今後とも、アナタの火付けのノウハウには期待していますよ」

直近のやることが書くことと焼くこと並みの感想

草なんだよな

草 火付けのノウハウってフレーズもなんかじわじわくる

「ふふふ、期待で燃え上がるのは心の炎だけですとも。現実には火薬がなくてはね!」

他に聞きたいこととかはないかな?

大丈夫です! 火付け魂たぎってきた

www 了解です

んじゃシーンしめにかかっていきますねー

「……アナタが少し羨ましいですよ。
 そうも、好きな物事に情熱を燃やせるのは、得難い素質でしょう」

そう言って目を細め

「では、ワタシは用事が有りますので、また後程。
 時間を割いていただき、どうもありがとうございました」 一礼して去っていきます

後に続けることないなコレ!

じゃあこれで切っちゃいます?

はい、おねがいします

では「Presia yehah irs」はここまで おつきあいありがとうございました!

おつかれさまでしたー

おつかれさまでした

おつかれさまでした

ありがとうございましたー! 意地でもハノンちゃ生かしたいレイヤしゃん……

レイヤもね、ハノンの幸福が自分と共にあるということは理解しているんですよ そこまで鈍チンじゃないので

でもそれのために死なせてしまう道に引きずり込むのは忍びないと思ってるし、
そもそもこうして手を取ってしまったこと自体若干後悔している

Q.「どのような道を辿れど、彼女は悲嘆のうちに一生を終える」って?
A.先祖返りもどきを起こしてるハノンとそこそこ大人で純血じゃないらしいレイヤ、どっちが寿命長いか、わかるよね?

やっぱ一緒に死ななきゃ……