第二紀ソル・シエールにおけるレーヴァテイルたちの生活資料

I.J.さんの場合

 3363年に誕生。とある病弱な御曹司の専属介護士として製造される。主人となった少年の心遣いにより、家族同然に迎えられた。
 主人が体調を崩した際に、場合に合わせたヒュムノスを使用する他、各種生活介助やメンタルケアなどを担う。給金は無い代わりに、主人と同等の衣食住や学習の機会を与えられていた。
 少年が成長し、病弱でなくなってからも、2人の絆は変わることなく継続。主人が成人した後、(正式には認められないながらも)夫婦の誓いを立てることになる。
 現在は主人の仕事の補佐を、仕事内容に見合った給料を貰っている。昨今の情勢に思うところはあるものの、今のところさほど不安は覚えていない。

Fさんの場合

 3354年に誕生。3368年ごろの強烈なバックラッシュの中、一度リフレッシュ処置を受ける(された理由は不明)。
 再教育を施された後、工場勤務となる。製品加工用のヒュムノスを延々謳い続けるだけの仕事。給料はなく、衣服は襤褸しか与えられず、食事は1日1杯のまずいスープ、寝床は工場の倉庫に同僚たちと共に押し込められる場所だった。
 自由意志が芽生えうる環境になかったが、ある時近隣の工場で爆発事故が発生。多数の死傷者が出たその事故を目の当たりにし、『破壊の美学』を知る。
 その後間も無く、自身が勤務する工場を爆破して行方不明になる。

Aさんの場合

 3338年に誕生。シュレリアの付き人としての教育を受け、10年ほどその職務を全うした。その間はプラティナにて並の人間より上等な生活を送っていたが、10歳の時に突如出奔。
 その後はあるデモ団体に身を寄せていたが、3368年のバックラッシュの際に殺害されたとされている。

Mさんの場合

 3370年に誕生。一年の教育の後、風俗店に雇用される。以降、3388年に紅の慈善財団によって救助されるまで、客を取らされ続けた。
 給料はなく、服や部屋こそ豪華なものを与えられていたが、食事の支給は粗末なもので、客からの差し入れが一番マシな食べ物だったレベル。
 反抗したり精神を病む素振りがあれば「素直になるおぐしゅり」を打たれたり、酷い場合にはリフレッシュされ、より酷い状態の同僚はある朝目覚めたら水になっているなどした。
 3388年に救助されてからは、まっとうな学習機会と人権侵害でない仕事を与えられ、第二の人生を活き活きと過ごしている。

Iさんの場合

 3384年に誕生。4年ほど警察官としての教育・研修を受け、そのまま警察に就職する。公的機関であるため、その待遇は同年代の他レーヴァテイルより破格に良かった。
 食事は栄養ブロックが規定量支給され、制服や普段着、武器の類も替えを含めて貸与された。職員寮も相部屋とはいえ普通の部屋であり、自由に使えるだけの給料も出た。
 しかし研修を終えて本格的に働き始めてすぐ、問題行動を起こしてリフレッシュ処分を受ける。勾留中にリフレッシュ施設が不明な組織による襲撃を受け、そのまま消息不明に。火災に巻き込まれて死亡されたとされる。

Bさんの場合

 3370年に誕生。教育期間の後、研究所の警備に携わる。警察と同じく比較的待遇は良く、問題行動も起こさず勤務している。
 嫌な上司も居たが、最近の上司はレーヴァテイルに優しく、時々お弁当も分けてくれる。今の生活を気に入っており、(勿論人間と比較すれば人権が無いにも程があるが)特に問題が有るとは思っていない。

Jさんの場合

 3369年に誕生。ある権力者の私物として買われ、様々な雑用をこなして生活してきた。
 この場には書けないようなこともされており、衣食住こそ揃っていたが、高い精神的負荷を受けていた。そのため時折発狂し、その都度リフレッシュをはじめとした処置を受け続ける。
 繰り返し受けた精神操作の結果、記憶や感情の整合性が失われてしまった。普通、ここまで崩壊してしまったレーヴァテイルは廃棄されるのが常だが、彼女のようにそれでも使われ続けるケースもある。